第1章 総則 -多数当事者の債権及び債務(総則)-

第427条【分割債権及び分割債務】

 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。


分割債権債務関係・・・一個の同一の給付を目的とした債権債務が、多数の者に分割的に帰属する関係。債権者が多数の場合は分割債権であり、債務者が多数の場合は分割債務である。

対外的効力・・・各債権・債務は相互に独立した地位として扱われ、各債権者は自分の債権だけ単独で行使でき、各債務者は自分の債務だけ単独で弁済しうる。

各1人について生じた事由・・・各債権債務は互いに独立した権利義務であるから、一人について生じた事由は相対的効力であり、他の債権者債務者に影響は与えない。

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第7章 時効 -総則-

第144条【時効の効力】

 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。


時効の効力はその起算点に遡る。

  • 取得時効・・・物の占有を開始した日→取得時効が完成すれば、その権利は起算日から取得者のものであったことになる
  • 消滅時効・・・権利行使が可能となった日→消滅時効が完成すれば、その権利は起算日からなかったことになる
第145条【時効の援用】

 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。


時効の援用とは、時効の利益を享受する旨の意思表示。

「時効の性質」学説、時効に類似の制度

援用の要件、時効の援用権者

援用の効果

第146条【時効の利益の放棄】

 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。


消滅時効の場合で、債権者等から強制されて債務者が放棄を約束させられる等の濫用を防止する趣旨。

  • 放棄者に処分権限があり
  • 時効完成後に
  • 時間完成を知った上でする

と、放棄できるが、効果は相対的。放棄した者のみが援用権を失う。

第147条【時効の中断事由】

 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一  請求
二  差押え、仮差押え又は仮処分
三  承認


時効の中断・・・一定の事由(同条列挙事由)によって時効の進行が中断され、そのまでの進行が0に振り戻しになること。

  1. 請求・・・裁判上の請求(149条)、支払督促(150条)、和解呼出し、任意出頭(151条)、破産手続参加(152条)、催告(153条)
  2. 差押え、仮差押え又は仮処分・・・債務名義に基づいてなす強制執行、強制執行保全手段
  3. 承認・・・権利の不存在又は権利の存在の表示
第148条【時効の中断の効力が及ぶ者の範囲】

 前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。


時効の中断は、原則として、中断行為に関与した者又はその承継人ついてでなければ生じない(例外あり)。

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第149条【裁判上の請求】

 裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。


中断事由のひとつだが、訴状却下、棄却、取下となると中断効は生じない(中断事由たる主張が裁判上で認められる必要あり)。

第150条【支払督促】

 支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条 に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。


中断効は、送達を要件とし、裁判書記官に対する申請時に遡って生じる

第151条【和解及び調停の申立て】

 和解の申立て又は民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)による調停の申立ては、相手方が出頭せず、又は和解若しくは調停が調わないときは、一箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じない。


中断効は、和解申立時に生じる

第152条【破産手続参加等】

 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。


中断効は、債権届出時に生じる

第153条【催告】

 催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。


催告の形式は基本的に不問だが、催告後6カ月以内に他の中断事由を講じなければ中断効が生じない。催告は暫定的な手段(149条~152条の行為を行って初めて催告時に中断効が生じる)。

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第154条【差押え、仮差押え及び仮処分】

 差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の中断の効力を生じない。

第155条

 差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じない。


差押え、仮差押え・仮処分が時効中断事由とされるのは、これらが権利行使の一場面であり、これらの行使手続により権利の存在がある程度確認されるからである。

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第156条【承認】

 時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があることを要しない。


承認は観念の通知であり法律行為ではないため、管理権限または能力があれば足りる。

第157条【中断後の時効の進行】

 中断した時効は、その中断の事由が終了した時から、新たにその進行を始める。
2  裁判上の請求によって中断した時効は、裁判が確定した時から、新たにその進行を始める。


  1. 裁判上の請求・・・判決確定時(2項)
  2. 支払督促・・・確定判決と同一の効力が認められたとき
  3. 和解呼出し、任意出頭・・・同上
  4. 破産手続参加・・・破産手続終了時
  5. 差押え、仮差押え又は仮処分・・・差押手続終了時
  6. 承認・・・承認の意思表示が相手方に到達したとき

に新たな時効が進行する。

第158条【未成年者又は成年被後見人と時効の停止】

 時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。
2  未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない。


時効の停止・・・時効満了間際時効が完成すれば権利を失う者に時効中断行為をなし得ないないし著しく困難となる事由がある場合、一定期間、時効の完成を猶予する制度。
それまでの時効進行が失われず一定期間進行が停止するという点で中断と異なる。

158条~161条までのそれぞれの場面でそれぞれに期間停止できる。

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第159条【夫婦間の権利の時効の停止】

 夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

第160条【相続財産に関する時効の停止】

 相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

第161条【天災等による時効の停止】

 時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため時効を中断することができないときは、その障害が消滅した時から二週間を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

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第5章 法律行為 -条件及び期限-

第127条【条件が成就した場合の効果】

 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2  解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
3  当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。


停止条件・・・法律行為の効力の発生を将来の不確定の事実の成否にかからしめる法律行為の付款(1項)。
解除条件・・・法律行為の効力の消滅を将来の不確定の事実の成否にかからしめる法律行為の付款(2項)。

両条件とも、原則として条件成就の際に効果が生じる。ただし、当事者の特約で遡及させることも可(3項)。

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第128条【条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止】

 条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。


条文規定の被侵害者は、相手方に対し、損害賠償請求権を取得する。

第129条【条件の成否未定の間における権利の処分等】

 条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。


  1. 処分・・・譲渡、放棄、差押等
  2. 保存・・・登記等
  3. 担保・・・担保権設定等
第130条【条件の成就の妨害】

 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。


  1. 妨害者に故意あること
  2. 相手方が条件成就を主張すること
  3. 条件を不成就にしたことが信義則に反すること

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第131条【既成条件】

 条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
2  条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。
3  前二項に規定する場合において、当事者が条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は、第百二十八条及び第百二十九条の規定を準用する。

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第132条【不法条件】

 不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。

第133条【不能条件】

 不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。
2  不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。

第134条【随意条件】

 停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。


131条から134条まで一覧表

第135条【期限の到来の効果】

 法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。
2  法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する。


  • 始期・・・法律行為の効力の発生又は債務の履行に関する期限。 ex.20歳になったら車買ってやる
  • 終期・・・法律行為の効力の消滅に関する期限。 ex.10月1日になったら貸していた漫画を返してくれ
  • 確定期限・・・到来する時期が確定している期限。 ex.Aの28歳の誕生日
  • 終期・・・到来することは確実だがその時期が不明の期限。 ex.Aが死んだら
第136条【期限の利益及びその放棄】

 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2  期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。


期限の利益・・・期限が到来するまでの間、法律行為の効力の発生・消滅、債務の履行が猶予されることによって得られる当事者の利益。通常、債務者のためにある。

放棄は単独で可能。原則、自由にできるが、これによって相手方が損害を与えることはできない。

第137条【期限の利益の喪失】

 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一  債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二  債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三  債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。


上記3つの事由の場合、債権者は直ちに請求することができ、債務者もこれも拒むことはできない。

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第6章 保佐及び補助 -補助-

第876条の6【補助の開始】

 補助は、補助開始の審判によって開始する。


15条~18条 補助人

第876条の7【補助人及び臨時補助人の選任等】

 家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する。
2  第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、補助人について準用する。
3  補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については、補助人は、臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、補助監督人がある場合は、この限りでない。


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第876条の8【補助監督人】

 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被補助人、その親族若しくは補助人の請求により又は職権で、補助監督人を選任することができる。
2  第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十条、第八百五十一条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、補助監督人について準用する。この場合において、第八百五十一条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被補助人を代表し、又は被補助人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする。


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第876条の9【補助人に代理権を付与する旨の審判】

 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2  第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。


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第876条の10【補助の事務及び保佐人の任務の終了等】

 第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条、第八百六十三条及び第八百七十六条の五第一項の規定は補助の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は補助人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被補助人を代表する場合について準用する。
2  第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は補助人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は補助人又は補助監督人と被補助人との間において補助に関して生じた債権について準用する。


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第6章 保佐及び補助 -保佐-

第876条【保佐の開始】

 保佐は、保佐開始の審判によって開始する。


11条~14条 保佐人

第876条の2【保佐人及び臨時保佐人の選任等】

 家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する。
2  第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、保佐人について準用する。
3  保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでない。


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第876条の3【保佐監督人】

 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被保佐人、その親族若しくは保佐人の請求により又は職権で、保佐監督人を選任することができる。
2  第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十条、第八百五十一条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、保佐監督人について準用する。この場合において、第八百五十一条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被保佐人を代表し、又は被保佐人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする


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第876条の4【保佐人に代理権を付与する旨の審判】

 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2  本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3  家庭裁判所は、第一項に規定する者の請求によって、同項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。


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第876条の5【保佐の事務及び保佐人の任務の終了等】

 保佐人は、保佐の事務を行うに当たっては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
2  第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条及び第八百六十三条の規定は保佐の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は保佐人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人を代表する場合について準用する。
3  第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は保佐人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は保佐人又は保佐監督人と被保佐人との間において保佐に関して生じた債権について準用する。


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